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UNITED TOKYOが今回コラボレーションしたのはモードとリアルクローズの絶妙なバランスが支持されているブランド・FACTOTUM。ブランドコンセプトとしても掲げ、今回UNITED TOKYOとしてもコラボレーションさせていただいたデニムに対するこだわりやインスピレーション源をデザイナーの有働幸司氏に伺った。

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服づくりをしていくうちに
自分の好きなものを誰かに伝えたいと思うようになった

―有働さんは元々ファッションの専門学校を卒業されていますね。
ブランドを立ち上げるまでにどのような経緯があったのでしょうか。

実は、専門学校時代はデザイナーのコースに在籍していたわけではなくて、ファッションビジネスのコースに通っていました。基本的には出店とか、そういったことを学ぶコースだったのですが。
自分は熊本から東京に出てきたんですけど、在学中に出会った人たちも地方出身者が多くていつも仲間と楽しく過ごしていましたね

―卒業後はアパレル企業に就職を?
はい。セレクトショップで販売をしていました。ですが、働いているときにふとファッションが本当に自分のやりたいことなのかと疑問に思うこともあって。それを確かめに退職し、ロンドンに留学しました。留学は半年間という短い間でしたが、その間に昔の職場の先輩と偶然会って、先輩の『戻ってきなよ』という言葉に前職でやり残したことをしようかなと思い、帰国後また販売員として会社に復帰しました。復帰した時の配属先がドレッシーなものを取り扱う店舗だったんですけど、そこから改めて洋服のよさというか、ファッションの楽しさを伝えたいと思うようになりました。
そんな中、学生時代の仲間から店を立ち上げようと言う話が浮上しました。そうして、原宿のキャットストリートに店舗をオープンしました

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―服をデザインすることになったきっかけもお店の立ち上げにあるのでしょうか。
店を立ち上げたといっても、やっぱり素人集団。安定して継続できるとは言えなくて。
そこで出たのが、『オリジナル製品を作ろう』という案だったんです。
そこから、お客様が求めているものだとか、時代感を考えつつプレスをしていったり、オリジナルで作ったものを卸にだしたりとビジネス的に試行錯誤を重ねて店を運営していきました。
そして段々と、コンセプトも特になくやっていた服作りにテーマをつけて、自分が好きなものを誰かに伝えたいと思うようになりました。

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旅先でのハプニングがクリエーションの刺激になる

―ブランド名の由来を教えてください。
ブランド名はアメリカの作家であるチャールズ・ブコウスキーの小説『FACTOTUM』からとっています。“FACTOTUM”はラテン語で、日本語だと『勝手に生きろ』という意味。それというのも、服作りをしていてデザインだとかもう少し自由にできたらいいなと思っていたから。自由を求めてブランドを立ち上げた当時の自分の心情という面もあります。

―留学していたロンドン等、海外でブランドを立ち上げるといったことは考えていなかったのですか?
それは考えていないです。ただ、テーマをつけてコレクションを制作しているので、それを掘り下げるために海外に旅しに行くことはありますが。ブランド立ち上げ後数シーズンはカメラマンさん等、色々なクリエイターの方と関わって、コレクションのカタログ撮影をしていました。

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―訪れた国の中で、一番印象的だった場所はどこですか?
一番はやっぱり、2010年秋冬コレクションの時に行ったチベットかな。
『セブン・イヤーズ・イン・チベット』という映画をテーマにしたのですが、宗教色が強いところで、人生観が変わりましたね。五体投地という荒行で、その中にチベット密教の聖地に向かって旅をするというものがあるんです。その旅には全アジアの若者たちが参加していて、彼らは別に自分の利益の為じゃなく、家族や周りの人びとの幸せを祈るために旅に出ているんです。その姿勢を見て、心を打たれましたね。なんて自分が考えていることはちっぽけなことなんだろう、と思いました。

―旅をする時はどのようなことを意識しているのでしょうか。
意識するというよりは、その土地で、肌で感じたものを大切にするようにはしています。もちろん、軽くその土地について下調べをしてはいるんですけど。旅の最中でのハプニングがクリエーションの刺激になるんだと思います。
デザイン的な面に関しては、FACTOTUMはリアルクローズという点で作っているので、どこかの国の民族衣装をそのまま持ってくるというよりは、カルチャー的な要素をリアルに落とし込むようにしています。

 

デニムは誰にでも似合うアイテム
だからこそ穿く人に沢山の型から
選ぶ楽しさを知ってもらいたい

―デビューコレクションから最新のコレクションまで、東京で活動を続けてきて、東京のファッションカルチャーに変化を感じましたか?
情報を得る手段が多様化しているのかなと思うときはあります。僕らの時代だと、ファッションの情報源といえば雑誌とかお店くらいだったんですけど、今だとSNSをはじめ、とにかくファッションの情報を手に入れる場所が増えたのではないかなと。これからは、お店やブランドが自身のコンセプトに合った方法で情報を発信していくようになる時代なのかなと思っています。あとは、やっぱり洋服を買う場所・手段も増えたので、今の若い子ってショップスタッフとの交流は目新しく感じるのかな。自分達が若かったころはショップスタッフからの情報ってすごく重要だったので。今はまた変わってきていますけど、少し前まではモノを伝えるのではなく、効率が重視された時代だったのかもしれない」

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―有働さんが考える、日本のモノづくりの強みとは何でしょうか。
デザイン的な面で言うと、独特なカオス感ですかね。アメリカやヨーロッパの要素も食っちゃうというか、日本風に落とし込んでしまうところ。何かと何かをくっつけちゃおうとか、そういったパワーは感じます。それと、やっぱり丁寧で職人気質、匠的なところですね。とくにデニムなんかだと、日本のものは本当に世界で通用する生地だと思う

―デニムはFACTOTUMのシグニチャー的存在ですよね。有働さん的デニムへのこだわりを教えてください。
デニムって誰でも似合うアイテムだと思うんです。だからこそ、その中でも着る人が満足できるようなものを作りたい。その為に形や加工のバリエーションを用意して、穿く・選ぶ楽しさを提供できたらなと。

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―UNITED TOKYOとのコラボレーションしたデニムに対して、デザインのポイントを教えて下さい
これは今までFACTOTUMではやらなかったビッグシルエットのもの。今後定番になればいいなと思って。手作業でのグラデーション加工やパッチもこだわっています。パッチはUNITED TOKYOのコンセプトカラーであるブラックを採用しました
→コラボレーションアイテム一覧はこちら
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日本の“あたりまえ”を世界へ

―最近気になっているキーワードはなんですか?
今まで様々な国を旅してきたけど、今気になっているのは日本。
日本各地の生地屋さんを見て回っていて、日本の良さを再度見直して、取り込んでいきたいなと思って。
モノづくり以外のところでも、日本はサービスや、いわゆる“おもてなし”が充実していますよね。日本のあたりまえを世界へ打ち出せたら強いんじゃないかな

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―今後の展望を教えてください。
今、パリで展示会を行っているのですが、これからも海外で展示会を積極的に行ってマーケットを広げたいと思っています。ヨーロッパでやるからといって、ヨーロッパっぽいクラシカルなものを出すというのではなくて、向こうにはないマーケットを造り出すといったイメージでやりたいです

DESIGNERS profile
有働幸司(ウドウコウジ)
1971年生まれ。東京モード学園卒業後、セレクトショップ入社。
その後、ロンドンに留学、ブランドの立ち上げに参加を経て、2004年にファクトタムを設立する。
2006年より東京コレクションに参加、2010年にレディスライン発表、2012年にシンガポールにて初の海外コレクションを発表。2013年秋冬コレクションで、ブランド設立10周年を迎えた。

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