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UNITED TOKYOが今回コラボレーションしたのは、ミラノやパリ等の海外でのコレクション発表やスポーツブランドとのコラボ等幅広い分野で活躍をしている三原康裕氏。UNITED TOKYO限定でローンチしたクラッチバッグにも組み込まれた“あぶり出し加工”を始めとする、芸術的なデザインは国内外で高い評価を受けている。独学で靴作りを学び、ファッションの世界へ飛び込んだ彼の哲学とは何だろうか。

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ファッションは“芸術と人を調和させるための手段”

―三原さんは美術大学のご出身ということでしたが、美術・芸術の世界からファッションの世界に飛び込んだ経緯を教えてください。

僕が在籍していたのは、テキスタイル学科というちょっと特殊な学科だったんです。でも実は受験したときにはテキスタイルの世界に興味があったわけではなくて。僕は小さなころからアートを勉強してきたんですが、それだからこそアートに対して不信感のようなものを抱いていたんです。だからこそ、アカデミックな勉強ではなく、ファイン系の幅広くなんでもやらせてくれるというテキスタイル学科に決めました。

―“アートに対する不信感”とはどういったことでしょうか。

親の影響もあり、子どもの頃から美術館にも結構行っていたんです。でもそこで、興味を持った作品があっても“美術館に行っても直接触れない”というジレンマが発生したんです。
僕は本来アート・・・芸術って人に直接訴えかけ、そして見ている人の知性を引き出すツールとなり得るものだと思うんです。でも、美術館のようにガラス越しでみても知性とか、創造性とかそういったものって生まれにくいなと。
そう考えると人間と芸術は調和しないんじゃないかという結論に至ったんです。
僕はその体制と闘いたい、そしてできれば日常のなかから人の創造性をかきたてるものを作りたいなと思って。そこで、より人びとの日常に寄り添うファッションという分野をその手段として選択しました

―ファッションという分野の中でも三原さんの原点といえば靴ですよね。

そうですね。ファッションの中でも靴は人が使うモノのicon(アイコン)だと思うんです。日常の中ですり減り、消費するもの、みたいな

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―三原さんは大学在学時からブランドを立ち上げていますが、周囲の反応はどうでしたか。

正直、異端な存在だったと思います(笑)。ファッション業界からは美大に通うアカデミックな人物、アート側からしてみれば、ブランドを立ち上げ、商売・ビジネスをしている特異な人物。でも、そのどっちつかずな立場が自分にとっては居心地が良かったんです。どんな表現をしても許されるような感じがして。でもやっていく内に葛藤する場面もありました。

ある知人に靴を作ったんですけど、その方は『世界に一足しかない靴だ』という理由で喜んでくれたんです。嬉しくはあったんですが、よく考えたらそれは、“芸術の哲学”――付加価値や希少価値に意味を見出すという点で喜んでくれたのかなと。いつの間にか嫌っていたことが自身に起こっていたんです。そこで、靴を量産することにしました。量産とはいってもせいぜい作れるのは20~30足くらい。しかも、手作業が介入するモノづくりですから、全く同じものは作れない訳です。そこは、量産というかたちでありながらも大量生産に対するアンチテーゼですね」

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固定概念にどうやって変化をいれるか。
そこがデザインのインスピレーション源に繋がる

―三原さんのデザインのインスピレーション源はどこにあるのでしょうか。

僕自身、いわゆる現実主義者だと思うんです。よく、『ファッションはファンタジー』と言われるんですけど、僕はその逆ですごく現実的なことを考えてる。結論的にそれがファンタジーと繋がる部分はあるとしても。
スーパーリアリズムという芸術の分野に近いかもしれないですね。リアリティとファンタジーが混在するみたいな。
意識しているのは現実を表現することの違和感を創り出すようにしていること。例えば、ブランドの2シーズン目くらいに出した革のコンバースもそう。コンバースは大量生産され、消費されるという概念が出来上がっている。でもそれをあえて革で表現することで、違和感を与えて固定概念を崩す。
もちろん感じ方は人により異なりますが、人に何かしらを考えるきっかけを与えたいんです。
ジーンズもそうですが、ベーシックなものは存在が当たり前すぎて日常の景色として過ぎ去っているもの。そこに変化を加えて、人に創造性を与えたい。固定概念をいかにして不安定にするか、それはデザインの根底にあると思います

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―ファッションやアートの分野の人物で影響を受けている人はいますか?

影響を受けたといえば、マルセル・デュシャンかもしれない。
10代前半のころに、デュシャンの「泉」という作品を見てから、『これはアートなのか』とずっと疑問に思っていました。もしかしたら忌み嫌う存在でさえあったのかも。でも、ずっと人に疑問を抱かせる、考えさせるという点に芸術の本質を見たような気がしたんです。強制的に人を考えさせるというのは、人と芸術の調和に繋がるんじゃないかなと。考えることは喜びに繋がると思います。考えるのを止めてしまうと人は創造性を失うので。

 

TOKYOブランドの強みは
カジュアルとモードのバランス感覚にある

―今の日本ブランド・ファッションの現状についてどう捉えていますか。

もともと、スーツやドレスって西洋のものじゃないですか。だからどうしてもアジア人がそれらをデザインしても理解されないんです。
そこを、山本耀司さんや川久保玲さんが西洋の文化を壊すことでモードの世界に革新を与えた。三宅一生さんはまた違うアプローチで、東洋と西洋の調和を図っているけど、今の日本のデザイナーは殆ど前者――山本さんや川久保さんの作った“西洋の秩序の破壊”という道を追従していると思う。でも、今はそれだけではブランドとして成功するのは難しい時代なのでは。今の日本の若手が海外にいってもある程度の評価は受けると思うけど、新しい道を打ち出さないと続かない。それには相当の戦略を時間をかけて考えていかなければならないんじゃないかな

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―それでは、海外でコレクションを経験した三原さんだからこそわかる、日本のクリエーションの強みとは何でしょうか。

自分自身のデザインにも関わることですが、固定概念を覆すような服を作るには本物を知らなければダメだと思うんです。ミリタリーやヴィンテージのテイストを落とし込むなら実物を見て、歴史を知らないと。同じアイテムでも民族単位で用途もデザインも違ったりするんです。日本には古着も沢山集まってくるし、そういうことを知れる環境があると思う。そこをクリエイティビティに繋げていくべき。日本ブランドの良いところはカジュアルを高価格帯に持って行けるセンスとバランス感覚にあると思う。美しいベーシックをデザインする力というか。でも、ベーシックなものってやっぱりコピーされやすいので戦略や見せ方での差別化が重要になってくると思う。ウェブやプレゼンテーション、価格帯に至るまですべてのブランディングが上手くないと。
洋服のデザインではない部分のファッション性を海外へ発信する、という点を加味して考えることが大切ですね。今、メイドインジャパンが注目されてはいるけど、それだけだと長く続かないと思う

自分のアイデンティティは日本にある。
今後は同じ歩幅で日本のデザイナーと関わっていきたい

―コラボレーションアイテムについて、ポイントを教えてください。
今回コラボレーションしたクラッチバッグはブランドのシグニチャー的イメージのあぶり出し加工を施しつつ、ミニマルなデザインになっています。これはSTUDIOUSの感覚が入ったからこそ。説明書がなくてもわかるシンプルさが魅力です。ブランドの他もアイテムもそうですが、このクラッチは日常で使う中で、作っている人の想いが伝わればなと思います。長くつかってもらえるシルエット、ファスナーのラウンド等、使っているうちに一つ一つのディティールの意味をわかってほしい

→コラボレーションアイテムはこちら

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―最後に、今後のご自身の展望を教えてください。
僕のアイデンティティはやっぱり日本にあると思っているので、今後は同じ歩幅で日本のデザイナーさんたちと何等かの企画を打ち出していきたいですね。
『日本だから・・・』という点は良い部分も悪い部分もありますが、今の日本を盛り上げるムードを受けて、今後も積極的に動いていきます

 

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