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久保嘉男氏今回UNITED TOKYOで限定コレクションのクリエーションを手掛ける久保嘉男氏は、
フィラデルフィア・スクール・オブ・テキスタイル&サイエンスを卒業後、ニューヨークでオートクチュールデザイナーのロバート・デニスのもとでキャリアを積み、帰国後は「yoshio kubo」「muller of yoshiokubo」「undecorated MAN」3つのコレクションをスタートしている。
ニューヨークと東京、両都市で服作りを経験したからこそ見えてくる「東京のクリエーション」への展望を自身の経験をふまえて語ってもらった。
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――ブランドを始めるきっかけは?

母が縫い子だったということもあって漠然と『服をつくりたい』『デザイナーになりたい』という気持ちは持っていました。小学校6年生の卒業文集でもそう書いていたくらい。ただ、かっこいいことがしたいという気持ちもあったんでしょうね。
でも、もちろんすぐになれるものではないとは思ってました。母からも『あなたは絶対売れないからやめたほうがいい』って言われて。そう言われた悔しさがバネになってやっていくことができた部分もあると思います。

――ニューヨークではなく、東京でブランドを立ち上げることにしたのはなぜ?

ニューヨークで働いていたときもブランドを立ち上げようという気持ちはやっぱりありました。でも、ニューヨークだと自分は“外国人”なわけで。工場、生地屋などとの金銭面的な関係づくりとかはやっぱり難しい。あとはやっぱり日本人はファッションがすごく好きという事が大きいですね。そういった色々な要素から東京でブランドを立ち上げて、地盤を固めようと思ったんです。

――ブランドを始めてから、クリエーションに関して大切にしていることはありますか?

ずっと大切にしているのはオリジナリティですね。世界で1人しかつくれないようなものをつくるように意識しています。途中で自分のデザインが誰かに似ているってなると、すぐにドロップします。それぐらい僕らはやっているアイテムに命をかけているので。あと、買ってもらうために服のクオリティにもこだわっています。

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■デザイナー単独でいいものを作ってもブランドとしては成長しない

――面でのコレクションの構成はどうしていますか?
組み立て方のテクニックなどがあれば教えてください。

チームで動いているということは大きいです。
構成に関しては、自分がちゃんと監修することが必要。ある意味宗教みたいなもので、常にチームのメンバーに自分の哲学を伝えようとしています。たとえばボタンの選び方一つとかも。それはチームにとって重要なところだと思うんです。自分の哲学、考えをしっかり共有して服をつくるという。やっぱりブランドっていう組織だし。ただ、何より大切なのはデザイナーが自意識過剰にならないことだと思う。

――レディースコレクション、メンズコレクションどちらも手掛けていますが、そのメリットはあるのでしょうか。

メンズだけじゃなく、レディースのアプローチもみられるというところですね。“男でも女でもいい”っていう感覚とか、柔軟性をデザイナーは持っているべきだと思う。
例えば、“服はこうじゃないと”っていう感覚だと、クリエーションはそれで終わってしまうので。でも、そこで一番重要なのは“格好良いか、悪いか”というところ。それには服の数をみてくるとか、経験がないと見極められない

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■誰も思いつかないような服作りがしたい

――今度は久保さんご自身のお話をきかせてください。

yoshio kuboの公式HPで気になった方との対談をしていて、先日ITジャーナリストの林信行さんとお会いしたんです。その時の“魔法使い”の話は興味深かった。
今、IT業界では“魔法を使う”というのがキーワードになっているようで、想像できるような物事って大抵はいずれ実現できちゃうんだと。『こんなのできないだろうな』と思うけど、思いつく範囲のクリエーションは実現できるという世の中になってきていると仰るんです。だから、それを飛び越すような、誰も思いつかないような服作りをしなければならないなと思っています

■日本はいいデザインを産むためにまだまだ死ぬ気でやらないといけない

――ニューヨークに行って、その時に感じた日本の良さ、またはもっとこうあるべきだ、ということはありますか?

日本の良さはたくさんありますけど、やっぱり一番は日本人はファッションがすごく好きだなということ。
でもやっぱり、今の日本はクリエーションの面でもちょっと弱いと感じます。もっとケンカを売っていくようなデザインがあっても良いと思う。パンチ力が強いものを出していくということが課題になってくると思いますね。

――なにが原因でそのような状況になっているのだと思いますか?

いいデザインを産むために費やす力が足りないんじゃないかなと思います。やっぱり死ぬ気でやらないと。
でも、それを言っているだけではなく、実際に行動に起こして、服作りをすることが大切だと思います。説明するだけで服がついてきていないのは一番だめだと。

 

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――これから東京ブランドがより成長していくために大切なこととは?

まだそこまで偉そうに語ることはできませんが、ブランドの服を売るのにはある種の“向こう見ずさ”は必要になってくるんじゃないですかね。でもそれがないと、そもそもデザイナーにはならないと思うけど…
あとは自分が誰よりも勝っているというものを持つこと。僕の場合は服を見た数、作った服の量には絶対の自信がある

■クリエーションと同様にビジネスでも“オリジナリティ”が求められる時代

――UNITED TOKYOは今後、海外での展開を目指していますが、クリエーション的な目線で、日本はもっとこうすれば海外でもうまくやっていけるのではないかということはありますか?

確実に言えることは、オリジナリティがあるかということ。逆にそれがなければ絶対世界では闘えないですね。似た服だったら僕らのものを買ってくれなくてもいいし、最近では情報量もかなりあるので、僕にしかできないことをやっていかないと服は作っていけないかなと感じています

――ビジネスもそうですね。

そう思います。だから、UNITED TOKYOも、ブランド側もちゃんとサポートはするけど、やっぱりビジネスの仕方にもオリジナリティを出した方がいいと思います。型にはまった売り方だと、始めは売れるかもしれないけど5年後、10年後もそうか?と言われると難しいかもしれない。
常に新しい売り方を考えなくてはいけないのでは。売り方も、理屈がちゃんと通っていなければ今の時代通用しないし。
あとは、うちの会社でもそうですけど、“ホスピタリティ”は重要視しています。接客のタイミングとか、態度とか

――それが日本というか、東京の特長でもあるのかなと思います。海外ではできないけど、そういう細かい気遣いは日本人ならではなのかも。

そうかもしれない。でもそれをやるのは結構時間とパワーが必要かなと思うんです。海外に出店したとしても、初めはその土地のパワーにのまれてしまうかもしれない。住んでいる人のルールというのもあるし。そこは柔軟性をもってやっていかないといけないですね。それがないとビジネスはやっていけないかなと

■UNITED TOKYO限定コレクションについて

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限定コレクションで出しているドレスのこだわりは、世界中誰が着てもカッティングが絶対にきれいに見えるっていうくらい、シルエットが良いものだということ。
そもそも、僕がドレスを作り始めたきっかけはアメリカで『SEX and the CITY』みたいなドラマを見ていて、普段からドレスを着ておしゃれして、無理をしてでもヒールの高い靴を履くみたいな文化っていいなって思っていたんです。そこで、東京でもドレスを着るシーンがあれば面白いのにと思ってドレス25型でmuller of yoshiokuboを立ち上げたんです。特別なシーンと普段とどちらの時でも着られるようなものを、と思って。このピースをあえて“ワンピース”ではなく“ドレス”と呼んでいるのにも理由があって、“ドレス”は身体にきれいに沿わすものと認識しているから。そういう哲学や想いがないとブランドってやる意味がないんじゃないかなと。

今回、谷さんの熱意やパワーに引き込まれてクリエーションを手掛けることになりましたが、UNITED TOKYO限定というのもこのドレスの良い点の一つだと思っているので、ぜひ見てほしいです

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